田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
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自民党の幹部たちがざわめいている(※写真はイメージ)
自民党の幹部たちがざわめいている(※写真はイメージ)

 9月に行われる自民党総裁選。安倍晋三首相優勢の報道が流れるが、自民党OBの元大ボスが、石破茂・元幹事長を推す動きを見せているという。ジャーナリストの田原総一朗氏が、その理由を読み解く。

*  *  *

“今回の総裁選に出馬せず、安倍首相を中心に政治課題への取り組みを進めることが日本の安定にとって適切な対応と判断した”

 7月24日午後5時すぎ、自民党の岸田文雄政調会長は、派閥事務所で行った記者会見で総裁選不出馬を表明した。

 岸田氏は石破茂氏や野田聖子氏と並んで、9月の総裁選に出馬するのではないか、と見られていたので、これで安倍首相の3選は決まったかに思えた。

 実は野田氏も、情報公開請求に関する不手際もあって、総裁選出馬のめどはついていないのである。

 そして、すでに安倍首相支持を固めている細田派94人、麻生派59人、二階派44人に加え、さらに岸田派48人が安倍首相支持を固めると、自民党国会議員の6割となり、石破氏の勝ち目はなさそうだ。

 ところが8月になって、竹下派の参議院議員21人が石破支持にまわりそうだ、という情報が出回り、自民党の幹部たちがざわめいている。

 どうやら、7月25日に自民党OBの青木幹雄氏が、竹下派で参議院幹事長である吉田博美氏に会って、“石破に投票せよ”と求めた、ということのようである。もちろん、吉田氏は、その場で“求めに応じる”と答えたわけではないようだが、派閥の長である竹下亘氏も、青木氏の求めに応じる気配である。

 青木氏は、現役時代は自民党参議院議員会長で、自民党の大ボスであった。そして引退後も竹下派には強い影響力を持ち続けているようだ。

 そして青木氏は、気分や感情で動く人物ではない。現役時代から確たる戦略を持って動き、また何度も成功させた。だからこそ、自民党の大ボスになったのである。だから、今回の青木氏の動きも、気分や感情であるはずがない。

 それでは、どのようなことを目論んでいるのだろうか。

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