安倍首相(c)朝日新聞社
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 7月22日に閉幕した第196回通常国会。3月には森友学園、加計学園問題で政権の支持率が急落するも、新潟県知事選で勝利し、働き方改革関連法、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が可決、成立した。松原隆一郎・放送大学教授(社会経済学)と御厨貴・東大名誉教授(政治学)、二人の論客が、今国会を斬りまくる。

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御厨:今回は、各政党が正面からぶつかり合うような戦いが行われたというよりは、メディアなどの場外で乱闘をしているような戦いだった。そういった意味では、「国会“場外”通信簿」になりそうです。

松原:森友問題で財務省がやった文書改ざんは、法的にも、信頼的にもとんでもないことだった。しかし、野党は「安倍が悪い」「安倍一強の弊害」などとしか言えない。それだけで終わり、政権を攻めきれなかったですね。

御厨:3月に証人喚問で、佐川宣寿前国税庁長官が国会へ出てきたが、野党は「辞めろ」「謝れ」などの批判に終始し、彼が「首相を庇っている」というところまで切り込めなかった。柳瀬唯夫前経済産業審議官の参考人招致も同じだった。その結果、切られ役のほうが評価され、“黒い英雄”になっている。公務員倫理を壊し、国を信じられなくしたことが致命的な問題なんだというところまで掘り下げて議論ができなかった。

松原:最終的な結論も変なものでした。次官と理財局などを処分し、官僚が全部悪いことにした。しかし、この問題の背景には、官邸主導を実現するために官僚幹部の人事権を全て内閣府が持ち、立法と行政のバランスが悪くなったことにある。これをどう修正するか制度改革の議論をしないといけないのに、理財局を切って終わってしまった。

御厨:文書改ざん問題について見ても、官僚が改ざんすることを前提に、改ざんさせないにはどうするかという話になっている。しかし、これは話が逆転している。普通の文書をつくるだけで大変で、改ざんの余裕はない。頻繁に改ざんしたら矛盾が多く出て収拾がつかない。

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