ついにNHKが映らない“テレビ”が発売された!
ネットを中心に話題沸騰なのが、ソニーの高画質・薄型テレビで有名なブランド「ブラビア」の「BZ35F/BZ」シリーズ。7月6日に発売され、価格は43インチで9万3千円ほどだ。
実はこの製品、正確には「テレビ」ではない。同製品にはテレビ放送を受信するためのチューナーがなく、「テレビではなく、液晶モニター」(同社広報担当)だという。会議や学校でのプレゼンテーションや宿泊施設での案内表示などの使用を想定し、「特定の放送局が映らないことを想定して作ったものではない」と開発の狙いを説明する。
だが、スマホなどで視聴する動画をモニターに映すことができ、民放5社が番組を配信する「TVer(ティーバー)」も技術的には見られると言われている。「Hulu」などのアプリをダウンロードすれば、ドラマや映画を視聴でき、テレビのように利用できる。そのため、「NHKを見ない」という人びとから熱い視線が寄せられている。
背景には、若い世代を中心に受信料の支払いに反発する層が増えていることがある。放送法64条1項によると、NHKを視聴しているか否かにかかわらず、テレビなどの受信機を設置したときに受信契約の義務が生じる。NHKを見ない人にとっては「サービスを受けていないのに、対価を支払うことを強いられている」という不満がくすぶる。
受信料をめぐっては、これまで、さまざまな法廷闘争が繰り広げられてきた。だが、昨年12月には最高裁判決で、テレビがあれば受信料の支払いは事実上の義務で放送法の規定は合憲という判断を示し、一応の決着はついたかたちだ。客室ごとに設置したテレビについて受信料の支払いを求められたホテル側が拒み、NHKが訴えた裁判でも、今年2月、やはりホテル側が敗訴した。
では、ソニーの新製品を設置した場合、受信料支払い義務が生じるのか。NHKの見解を求めると、「各企業の製品についてコメントする立場にはない」(NHK広報)としながらも、一般論として「放送を受信する機能がないモニター等については、受信契約の必要はない」(同)と回答した。ということは、新製品の“テレビ”は受信機ではないので、受信料は支払わなくてもいいという論理が成り立つ。間接的ながらもNHKから“お墨付き”をもらったも同然といえるだろう。