愛媛県が告発した備忘録を加計学園の“嘘”として封印。国会でシラを切りとおした安倍晋三首相。検察の不起訴処分と財務省の調査結果の公表で森友文書改ざん問題も幕引きを図った。もはや安倍3選の流れは阻止できないのか。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう指摘する。
「財務省内では次の幹部人事とともに、19年10月からの消費増税が最大の関心事になっています。それに麻生(太郎)氏は自分が辞めたら安倍政権は持たないと自ら公言しています。政権維持と、来秋からの消費税アップに道筋をつけるために、大臣の椅子に居座り続けている。そうすれば、自然と安倍3選の流れになるという腹積もりなのでしょう」
財務省は森友文書の廃棄や改ざんを指示したとして6月4日、佐川宣寿前国税庁長官や理財局の中村稔総務課長らを停職、20人前後の処分と最終報告書を発表する。その一方で、安倍首相は麻生氏を続投せる方針を早々に表明。1日の参院本会議で「麻生財務相には厳正な処分を行った上で、再発防止に全力で取り組んでもらいたい」と語った。
麻生氏は改ざん問題について「組織的ではなかった」と開き直り、「文書は廃棄した」と虚偽答弁を続けた佐川氏を国税庁長官に栄転させた時には「適材適所」と強弁してきた。公文書管理法に詳しい右崎正博・獨協大名誉教授が言う。
「麻生氏に任せていては自分の失敗を糊塗(こと)することばかり考えているので、きちんとした調査も再発防止策も期待できるはずがない。疑惑を受けてきた当人たちの調査結果や処分など、到底受け入れられるはずがありません」
このまま逃げ得を許してしまうことになるのか。大阪地検特捜部は結局、疑惑に切り込めなかった。国有地を不当な低価格で売却した背任や、決済文書を改ざんした虚偽公文書作成容疑などで告発を受理していたが、佐川氏や財務省職員ら計38人を不起訴処分にした。文書の改ざんが、契約金額や会計処理など根幹部分に及んでいないことが起訴できなかった理由という。