市関係者によると、同様に文書を入手した自民党市議団も質問に立つ予定だったが、大きな騒動となり、市長を支持する立場などから質問を見送ったという。ここで「保守が守ってくれた」と勘違いしたのが高橋市長。被害者を「思い込む(タイプの)人ではある。時々、トラブルも起きている」などと指摘し、否定路線を貫こうとした。だが、副市長が「市長は辞職するべきだ」と愛想を尽かす発言をし、被害女性職員が「我慢ならない」と実名で抗議文を出したことで、ようやく謝罪へと転じた。
高橋市長は記者団に対し、「異性への関心のもとにやったことではなく、一種の一家意識、狛江一家みたいな、家父長的な立場としてやったことなんだが」と発言したというが、セクハラ問題に詳しい圷由美子弁護士は手厳しい。
「加害者の地位が高ければ高いほど社会的な批判にさらされる覚悟が必要。裁判所のハラスメントに関する判断も管理職以上は厳しくなる。現代のリーダーは、人権感覚やリスクマネジメントの素養として、何がハラスメントになりうるのかを押さえて行動するべきです。交通ルールを学んでから運転することと同じです」
(本誌・永井貴子、秦正理)
※週刊朝日 2018年6月8日号