三つめはペイメント(決済)。決済の手段として、これからいろいろ利用できる可能性がある。例えば、イタリアに友達がいるとして、お金を送るのは大変ですね。銀行では時間がかかり、手数料もかさむ。仮想通貨を使ったサービスだったら、リアルタイムで簡単に“ポン!”と送れる。決済手段としての将来性は高いです。
四つめはブロックチェーン(取引記録をネットワーク上で管理すること)。この技術は仮想通貨の周辺で蓄積されています。これによって、金融事業の様々な部分でリスクとコストを下げることができます。
この四つの側面を組み合わせたり、伸ばしたりできるので、仮想通貨は将来有望な分野だと思っています。
――仮想通貨は値動きが大きく、リスクも高いです。
どんなものにもリスクはあります。現金や国債にもリスクはあるのです。
仮想通貨は1980年代のデリバティブ(金融派生商品)に似ています。知っている人が少なく、レギュレーション(規制)は未整備で、値動きは激しかった。それが、みんなが理解してきて、規制の枠組みもしっかりしてくることで、安定してきた。同じような感じだと思う。
値動きが激しいため取引の参加者は増え、去年1年間で、時価総額は約2兆円から一時期約60兆円まで膨らみました。
最も投機的なお金が仮想通貨の市場に流れていた。株式や商品の市場には行かずに仮想通貨に流れたことで、株式や商品市場は過熱せず「適温相場」だった。もしかしたら、仮想通貨の市場でガス抜きをしていたのかもしれません。
仮想通貨について良いか悪いかではなく、市場全体を理解するために、動きを知っておいた方がいい。
――コインチェックの和田晃一良(こういちろう)・前社長は執行役員として、今も働いています。
和田さんはエンジニアリングのなかで一番重要な人物です。今後も一緒にやっていきます。
システムのリスク管理やサイバーセキュリティーに関しては、和田さんだけではなく、マネックスグループからの役員や、外部からも力を持ってきて補完をしています。