■住民満足度UP 人工知能活用も
人工知能(AI)を使い、管理員の負担を減らしつつ、住民の満足度を上げようとする試みもある。
管理会社の「大京アステージ」は、マンションにAI管理員を置く実証実験をしている。東京電力グループのファミリーネット・ジャパンなどとの共同研究で、自動応答サービスを開発した。エントランスにモニターを設置し、画面にはAIの男性管理員のイラストが表示される。住民が話しかけると、応答するしくみだ。
「ゴミの日は何曜日?」
「近所のコンビニはどこ」
こうした質問に答えられるほか、簡単なあいさつもできる。今後、「共用部分の電球が切れた」などの連絡には「後ほど対応いたします」と答えたり、管理員が出勤時に確認したりする。すぐ答えられない質問などはコールセンターの番号を案内する。そのままコールセンターと通話できる機能搭載も考えているという。
山崎紀男・事業統括部長は、ねらいをこう話す。
「人手不足対策としてはもちろんですが、管理員がいない夜間などにも対応できます。このサービスで、入居者の利便性を高められるのではないかと考えました。現在、実験の結果を受けて質問や要望を分析し、学習させている段階です。実用化する時期は未定ですが、将来は管理員の負担を減らしつつ、入居者の満足度も高められるようになると期待しています」
AI管理員が実用化されても、人による管理すべてを取って代われるわけではない。さくら事務所の土屋さんは、管理員が働きやすくやりがいも感じられるようになるためには、住民の理解も不可欠だと訴える。
「共用部分の不備はすべて管理員の責任と思い込み、クレームをつける人もいます。しかし、実際は危険を伴う高所作業などが禁じられており、業者を手配してからということも多いのです。大切な住まい、資産であるマンションを管理してくれている人に対し、無関心であったり、苦情を言ったりするばかりでは残念です。仕事の内容を理解し、協力して資産価値を守っていこうとする姿勢もあっていいのではないでしょうか」
(森田悦子)
※週刊朝日 2018年4月27日号