田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
はぐらかしはいつまでもは通用しない(※写真はイメージ)
ジャーナリストの田原総一朗氏は、陸自の日報問題、モリカケ問題などについて、リークした機関を推測する。
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次から次へと、政府にとって“不都合な事実”が露呈している。そのいずれもがリークである。
4月2日に小野寺五典防衛相が、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が1月12日に確認された、と公表した。イラク派遣は、小泉純一郎首相の時代である。なぜ今になって公表されたのか。しかも4日に防衛相は、実は去年の3月に陸自が確認していたのだと公表した。新たな謎が生じた。なぜ陸自は1年近くも隠ぺいしてきたのか、森友学園に関わる決裁文書改ざんで大騒ぎのこの時期に、しかも自らの恥をさらすような公表をするのか。さらにその後、航空自衛隊の日報があったこともわかった。
また、森友学園問題は国会でもマスメディアでもほぼ過去のことになりつつあったが、3月2日に朝日新聞が、財務省が決裁文書を改ざんしていると1面トップで報じて火をつけた。もしも朝日新聞が報じなければ、財務省は改ざんを隠ぺいして、国民を騙しつづけるつもりだったわけだ。いやしくも民主主義を標榜する国にあってはならないことである。
さらに4月4日、NHKの19時のニュースが、財務省理財局の職員が、問題の国有地のゴミをトラック数千台で撤去したと言ってほしい、と森友側に頼んだ、と報じた。これが事実だとすると、8億円の値下げが先にあり、そのために大量のゴミを撤去したという嘘の理由をつくろうとしたのだということになる。しかし理財局にとって8億円値引きすることは何のメリットもない。もちろん必然性もない。となると、上、つまり政界から何らかの力が働いたのだと思わざるを得ない。
それにしても、3月2日の朝日新聞の報道は自信にあふれていて、私は財務省の何者かがリークしたのではないか、と考えていた。ところが事情通たちは、大阪地検のリークではないかと捉えているようだ。それが事実だとすると、地検は何をどうしようと図っているのだろうか。さらに、NHKのニュースもよほどの確証がなければ報じないはずだが、それを掴んでいるのは地検である。
となると、安倍首相が、17年1月20日までまったく知らなかった、と国会で答弁したことの信ぴょう性が問われることになる。
柳瀬氏も国会で“面会した記憶がない”とあいまいな答え方をしている。面会を認めれば、安倍首相が嘘を言っていたことになり、このように答えるしかなかったのであろう。
だが、文書の作成を県知事も認めたとなると、安倍首相の信任が強く問われざるを得ない。11日の国会でも、安倍首相は、説得力のないはぐらかしをくり返すばかりであった。
安倍首相は、「私や妻が森友学園の許認可や土地売買に関わっているとすれば、私は首相も議員も辞める」と国会で答弁した。森友学園ではあのように答弁したが、加計は違う、などという弁解は認められない。
はぐらかしはいつまでもは通用しない。安倍首相は責任を取るべきではないか。
※週刊朝日 2018年4月27日号
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