森永卓郎(もりなが・たくろう)/1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開。『森卓77言』など著書多数
森永卓郎(もりなが・たくろう)/1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開。『森卓77言』など著書多数
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常に1ミリでも前向きに!(イラスト/ヒロヒロスタジオ・斎藤ひろこ)(週刊朝日 2018年4月20日号より)
常に1ミリでも前向きに!(イラスト/ヒロヒロスタジオ・斎藤ひろこ)(週刊朝日 2018年4月20日号より)

 老後のことを考えるといつも不安。投資などでお金を少しでも増やしたいと思うのは世の常だが、経済アナリストの森永卓郎さんはその考えを否定する。

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「いやいや私はお金を増やすという発想は捨てたほうがいいと思います。最大限できてインフレヘッジ。それ以上欲をかくと痛い目を見ることもあると思います」

 定年後のお金が心配ならば、最優先すべきことは、

「まず生活費をガツンと落とすことです。それも定年後からではなく、思い立った『いま』からです。投資のようにリスクはありませんし、定年後の仕事を探して働くことより簡単です。税金もかかりませんから確実だと思います」

 生活費を劇的に落とすなら、やはり食費。お金があるからなんとなく行ってしまう外食、なんとなくの買い物を控えるだけでお金の出ていく速度は全然違う。

「ちなみに私はいま、平日は仕事のためにマンションで一人暮らし。昼はテレビ局など仕事先でお弁当が出ますからそれを食べますが、朝・晩は自炊です。買い物は夜、スーパーで安くなっているものを買います。私は炭水化物は食べませんので豆腐や肉類を買いますが、1カ月の食費は4千円でおさまっています」

 定年後、何も同じ場所に住む必要もないのであれば、

「無理して都心に住まずに家を売って、郊外の安い家に住み替えてもいいんです。そうすればお金に余裕もできるでしょう。その上で、自分が面白いと思ったこと、やりたいと思ったことをどんどんやっていく。そういうことにお金を使うのが一番幸せなことだと思いますよ。こういうことがやりたい、というのは若いうちから明確に持っていたほうがいい。会社員のうちからいろいろやっておけばいいんです。時代の波っていうのかな、たまたまポーンとスポットライトがあたるとドーンと売れたりするんですから。ピコ太郎みたいに」

 実は森永さん、歌手もやりたいと思い、カラオケボックスでデモテープを作り何社かに持ち込んだことも。

「全部断られましたけど(笑)。仕事でNHKに行ったときは紅白に歌手で出たいと言い続けて7~8年。でも1ミリでも前向きに進んでいると当たることってあるんですよ。今やる、すぐやる、ダメならすぐ引く。他人から格好良く思われなくても全然OKじゃないですか」

(エディター・赤根千鶴子)

週刊朝日 2018年4月20日号