回転寿司店の店内(すし銚子丸提供)
回転寿司店の店内(すし銚子丸提供)
好きな回転寿司アンケート(週刊朝日 2018年3月23日号より)
好きな回転寿司アンケート(週刊朝日 2018年3月23日号より)
回転寿司評論家の米川伸生氏(左)、銚子丸の石田満社長(右・撮影/五嶋正風)
回転寿司評論家の米川伸生氏(左)、銚子丸の石田満社長(右・撮影/五嶋正風)

 お手軽な外食の選択肢として、庶民に愛される回転寿司。100円寿司など値段の安さを推す店もあれば、ブランド産地の魚を都会にいながら味わえることを売りにするグルメ寿司もあり、百花繚乱だ。専門家たちがおすすめする回転寿司“なう”とは?

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 回転寿司業界は6千億円を超える市場規模と言われている。外食産業は少子高齢化の影響で軒並み厳しい経営を強いられているが、その中でも年々成長を続けている。だが魚価の高騰や人件費アップといった向かい風もあり、成長市場とはいえ業界内では熾烈な競争が繰り広げられている。

「金沢や根室で味わえる魚と、同じものが都会で楽しめる」「一皿100円でイキのいい鮮魚ネタに出会える」──。回転寿司屋の良し悪しを見分けるため、どうしてもまず目が行ってしまうのは寿司ネタとなる魚の質だが、回転寿司評論家の米川伸生氏は、人材力に注目する。

「質のいいネタをいくら調達できても、それをいい状態でお客さんに楽しんでもらうには、職人の力が欠かせない」

 確かに、仕入れた魚をうまくさばくにしても、あぶったりづけにしたり一仕事加えるにしても、そしておすすめネタを客にわかりやすく紹介するにしても、職人の知識やスキルは欠かせない。

「そのため、人気店は決まって人材育成に力を入れています」(米川氏)

 例えば金沢から首都圏や大阪、名古屋に進出して大人気となっている、金沢まいもん寿司。

 米川氏によると、地元ではより高級な立ち寿司(回転しない)店も出しているため、若手職人を立ち寿司のほうへ送り込み、修業させているという。また教育の仕組みを整備したり、店長に昇格するための知識やスキルを資格化したりしている店もある。グルメ寿司チェーンの代表格のすし銚子丸は同社の石田満社長によると、地区ごとに中心となるコア店舗を設定。教育の拠点にしてサービス品質の維持を図っている。

 いい回転寿司屋を作るためのカギとなる「人材力」だが、回転寿司業界に限らず外食産業全体が頭を悩ますのが、優秀な人材の確保や定着だ。

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