昭恵首相夫人がPR役を務めるなど安倍政権の鳴り物入りで始まった「プレミアムフライデー」もはや1年が過ぎたが、浸透度は「イマイチ」。ただ、居酒屋業界はイベントに便乗し、生き残りを賭けた趣向を凝らす。「勝ち組」にはある共通点があった。
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プレミアムフライデー1周年を前面に押し立ててイベントを展開してきたのが、東証マザーズに上場している「串カツ田中」だ。2月24日から5日間、全店18時までの来店客に串カツ全品100円(税抜き)イベント(23日だけは終日)を仕掛けた。1年前のプレミアムフライデー初日以降も、たびたび同様のイベントを企画し、テレビ局の情報番組で取り上げられるなどのキャンペーン効果を得ていた。それだけでなく、エイプリルフールや「くしの日」などでもイベントを開催、LINEやツイッターなどSNS(交流サイト)を活用するなど積極的なプロモーションが好業績と店舗増につながっている。前々期37店、前期38店の新規出店で前期末の総店舗数166店は、今11月期の会社計画では55店舗の新規出店で221店舗態勢を計画。そして、業績は売上高75億円(前期比35.6%増)、経常利益6億6千万円(同26.9%増)と2ケタ増収増益、連続で過去最高益の更新を目指す。
「現在のマザーズから近々にも東証1部に市場変更が予定されるなど、まさに破竹の勢いの串カツ田中とともに、企業成長が著しい居酒屋チェーンが『鳥貴族』です」と外食担当アナリストは語る。
昨年10月に全品280円均一から298円(税抜き)への28年ぶりの値上げがニュースとなった鳥貴族。前7月期には前々期比75店の純増で総店舗数は567店、今期は103店舗の純増で670店舗を目指す。今7月期業績も売上高369億3900万円(前期比25.9%増)、経常利益22億8100万円(同59.9%増)と最高益を更新する計画を立てている。
「企業成長には独自の出店ノウハウもあるが、この鳥貴族と串カツ田中の共通点は、単一の店舗ブランド(店名)で、比較的低価格の統一メニューを持つこと。『焼き鳥』『串かつ』と“串を打つ日本料理”という安心感も底辺にある」(外食担当アナリスト)と分析する。