久間:安保を改定することについて、まったく議論がなされていません。朝日新聞はじめメディアの怠慢もあると思います。国民の圧倒的多数が安保条約を支持しているから、政治家もメディアも迎合してしまっているのです。
木村:久間さんは、最後に第1次安倍内閣で防衛大臣を務められましたが、安倍首相と安保の見直しについて話されたことはあるんですか?
久間:していません。
木村:安保がなきゃダメだという感じですか?
久間:ますますね、必要だと言わんばかりの雰囲気でしたよ。やっぱり中国の軍事力の増強もあって、日本は安保条約でバックアップされているんだという思いが強い。昔の安保とはちがった安保を作ればいいじゃないかという議論は誰もしなかった。
木村:新安保にすることを考えてもいいじゃないですか。なぜ議論されなかったのですか?
久間:現状のままで別に差し障りが出てきておらんということです。
木村:久間さんが現役のときに言ってくれれば、一番良かったのに。
久間:ホントね(笑)、そう思うよ。いまだったら言いだすね。
孫崎:いま、日米安保を改定しようとしたとき、米国はどんなことを言ってくるか。おそらく自衛隊をイラクなどに派遣できるような条約にすることを求めてくるのではないですか?
久間:米国はここぞとばかりに言ってくるでしょう。でも、それは払いのけなければいけない。日本はやっぱり自衛隊を海外に出さないということで、各国とバランスを取ることができているんです。日米安保は、米軍が駐留することで日本の再軍備化、軍事大国化を防ぐ“瓶の蓋”になっているという事実もあるのですから。
孫崎:安倍首相はじめ現在の保守政治家たちと、久間さんの主張はちがいます。
久間:ちょっとちがうよね。安保法制国会が盛り上がったときに、慎重な姿勢を崩さなかった公明党の山口(那津男)さんと北側(一雄)さんに、あなたたちが言っているのは正しい、頑張れと激励したことがあります。創価学会の原田稔会長にもこの件は言っておきましたから。とにかく公明党にしっかりしてもらわなければ困る。公明党はいまも慎重論を崩していないからいいですよ。
木村:でも、最近は何かフラフラしてきました。
久間:そんなことはないと思うけどね。
孫崎:もう傾いていますよ(笑)。