仮想通貨取引所大手の「コインチェック」が26日午後11時半、東京都内で会見し、不正アクセスによって仮想通貨「NEM(ネム)」約580億円相当分が流出したと発表した。
和田晃一良社長は冒頭、「本日、弊社のサービス停止、お騒がせしたことを深くお詫びします」と陳謝。
その後、経緯を語った。26日になってネムの残高が異常に減っていることに気づいたという。外部からの不正アクセスが原因というが、セキュリティに不備はなかったのか。
その点を記者らに問われると、大塚雄一取締役(COO)は、「セキュリティが甘いわけではない」「(セキュリティ)が低かったから狙われたという認識はない」と繰り返すも、言葉に詰まる場面が多く見られた。
金融庁は仮想通貨業界を監督するため昨年、仮想通貨取引所に登録制を導入した。コインチェックも申請を出したが、未だに登録されていないという。
大塚取締役は「セキュリティーが甘いから登録していないわけではない」などと説明した。さらに「お客様の資産を預かる立場として、やれることはできる限りやっていた」と声を絞り出した。
“盗まれた”資産の補償については「検討中」と大塚取締役が繰り返す横で、和田社長の目はうつろ、放心したような表情だった。20代の和田社長はメディアに露出するなどし、青年実業家として注目株だった。
詰めかけた記者団との質疑の多くを大塚取締役が答える中で指名されても、「このような事態に陥ってしまったことを、深く反省しております」と話すのが精いっぱいで、動揺は明らかだった。
今後の見通しについては、大塚取締役はこう繰り返した。
「安全に提供できると確認できるまで(復旧できない)。見通しは立っていない」
コインチェックは26日午後から、《現在、NEMの売買についても一時停止をしております。大変ご迷惑をおかけしてりますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます》とツイッターなどで発表。
その後、渋谷区にあるオフィスには続々とユーザーが集まりはじめ、夕方から報道陣も加わり、大混乱になった。