と仕事をする人にも猫語について聞いてみた。「ZOO動物プロ」は、ドラマ「猫侍」の玉之丞役を務める「あなご」さんや、「Y!mobile」のCMの「春馬」クンなど、多くの有名猫アイドルを擁する、いわば猫芸能界のジャニーズ

 あなた、ほんとに猫なの?と問いたくなるほど芸達者なアイドル猫も多く、必ずや猫語がわかるスタッフがいると踏んだ。対応してくれたのは同プロのコーディネーター北村まゆみさんだ。

「犬は人が飼うもの、猫は人が飼われるもの」を合言葉に、人がシモベであることを意識して猫の気持ちを忖度するのが、彼らと「話す」コツだという。

「個体差はありますが、口を結んだままグーとうなるのは、怒り始めの合図。撮影中にその音が出たらすぐに飛んでいき、なでて落ち着いてもらいますね」

 尻尾にも“言葉”があるという。ユラユラさせているときは「ゴキゲン」、ピン!と立てているときには「これは何だろう?」と興味津々のサインのことが多い。

 人からの語りかけは、もちろん人の言葉で。ドラマなどの撮影が始まる前には、台本を一通り、タレント猫さんに読んで聞かせるのも北村さんの仕事だ。

「猫も信頼関係があれば、人の言葉を犬並みにわかります。仕事に慣れると、ちゃんと台本どおりに動いてくれるコも少なくないですね」

 太田教授も言う。

「猫との信頼関係のためには、何か話しかけられたら『ちょっと待っててね』など、言葉で応対してあげるのがいいですね」

 こうして英検ならぬ、猫検4級くらいの知識を蓄えたところで、知り合いの猫たちと会話を試みた。まずディクテーションから……と思ったが、みんな私に用がないらしく、いくら呼びかけてもミとも言わない。

 そこで秘密兵器。「人猫語翻訳機」なるスマホのアプリの登場だ。人の言葉を録音すると、すぐさま猫語に変えて、猫の声で発声してくれる(という触れ込みの)ジョークアプリ。「遊んで」と録音すると、「ミャウ、ミャウ、ミャアミャー」なる猫語が出た。それを聞かせたところ、一瞬顔を上げるものの、人からの要求に興味がないのか、はたまた翻訳がいい加減なのか、全員がすぐにスルー。

 続けて教授に教わった「ニャーーン」(遊んで、かまって)を口まねでスピーキングしてみた。

 顔さえ上げやしない猫も多いんですけど……。「ミャオニャオ、ミャーン、ニャ」(人猫語翻訳機で「フン」の意)

(福光恵)

週刊朝日  2017年12月29日号