10年10月に父、興永氏は高齢のため宮司を辞任。後任に姉の長子さんを指名し、責任役員会や総代一同も賛成した。同時に神社本庁に最初の任命具申を行った。

 12年7月に興永氏は死去するが、長子さんの早期の宮司就任を願っていたという。だが、13年6月、同年12月にも同八幡宮は具申したが神社本庁が長子さんを任命しない状態が続いた。

「今年3月になって、4回目の上申の準備をしている中で、(茂永容疑者の妻)富岡真里子名義の“告発状"が神社本庁に送られていることを知りました。長子さんを誹謗する内容だった。一方で、私たち弁護士は長子さんが6年以上も宮司に任命されない理由を質問状にして神社本庁に送っていた。しかし、神社本庁から回答はなく、これまでの八幡宮の神職、神社職員、責任役員、総代などが長子さんの宮司任命を嘆願した書類などを送り返してきた」(同弁護士)

 このため、八幡宮は責任役員会で神社本庁からの離脱を5月に決議した(正式離脱は今年9月)。当然、離脱すれば、八幡宮だけで神職も任命でき、長子さんはようやく、正式に宮司に就任することになる。

 復帰の目がなくなる茂永容疑者はそれ以降、長子さんや総代の一部の人たちを「離脱はけしからん」などと一方的に非難するようになった。特に、長子さんに対しては執拗に電話を掛けてきたという。

「そこで、弁護士として茂永氏に対してこうした行為はやめるよう警告書を7月10日付で送付した。インターネット上の書き込みも茂永氏と断定できないものの、私たちは疑っていた。こうした行為を続けると(茂永容疑者が宮司を辞任した)2001年以来の経済的支援を止めることになると通告した。その効果があったのか、茂永氏からの迷惑行為はなくなり、平穏な状態になって安堵していた。もし、迷惑行為があれば、当然相談があるだろうから、長子さんも安心していたと思う」(同弁護士)

ところが、茂永容疑者は7日夜7時過ぎ、待ち伏せし、日本刀で姉の長子さんの首を斬りつけるという凶行に及んだ。

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