片付けの習慣を急いでつけないとゴミ屋敷に(c)朝日新聞社
片付けの習慣を急いでつけないとゴミ屋敷に(c)朝日新聞社
老化の進行と暮らしへの影響(週刊朝日 2017年11月3日号より)
老化の進行と暮らしへの影響(週刊朝日 2017年11月3日号より)
住まいの動線を単純にしワンルーム化したモデル図(作図協力:アキュラホーム)(週刊朝日 2017年11月3日号より)
住まいの動線を単純にしワンルーム化したモデル図(作図協力:アキュラホーム)(週刊朝日 2017年11月3日号より)

 良く老いるにはそれなりの工夫が必要だ。若いときからの惰性に流され、じわじわと後退していくだけでは、生活は縮むばかり。では老年期には、どのような努力が必要なのか。最も身近な家事を仕切り直し、老化を防ぐ。住生活コンサルタントの大久保恭子さんがその5カ条を徹底解説する。

【図】老化の進行と暮らしへの影響

【第1条 まず、自分の老化を見越す】
 自分の体はどのように衰えていくのか? それにつれて、家事はどう変えていったらいいか? 老化の進み具合をできるだけリアルに見越したうえで、逆算して、今からやるべきことを組み立てる。これが、仕切り直し「家事」の起点だ。

 そこで老化の進行が暮らしにどう影響するのかを3段階に分けて整理した。

 まず、訪れるのは老化第1段階だ。老化は始まっているものの、多くの人が健康寿命を保っており、家事が滞るまでにはいたらず、生活に支障はない。

 次の老化第2段階は急速に衰え、できないことが増え、生活が縮小する。

 視・聴・嗅といった感覚器、筋力がガクッと衰え、遠出や車の運転が難しくなる。片づけ・掃除が困難になり、ゴミ屋敷化が始まる。料理する意欲も低下。できないことはさておき、できることをやり続けることに注力する段階だ。

 そして老化第3段階は、介助なしでは、外出も室内での生活もできなくなる。

 味覚が衰え、料理ができなくなる。やれることは、家事の一部(食器を洗う・拭く、洗濯物をたたむ)と食事、排せつ、入浴といった生きるための最低限の行為に収れんする。認知症も増える。

 大切なことは、第1段階になるべく長くとどまることだ。第2段階に入っても、それなりの暮らしが立つように予め準備しておくことが重要だ。

 先を行く、ご老人の生活のあり方を、よく観察することも大事だ。第3段階は人の助けが必要で、日頃の近所づきあいなど、それまでの人間関係の蓄積がものをいってくる。

【第2条 急ぐのは片づけ、ほうっておけばゴミ屋敷】
 まず片づけの習慣づけが急務だ。老化第2段階に入ると、個人差はあるが、家事のうち、片づけ・掃除ができなくなる可能性が大だからだ。

 介護福祉士として25年間高齢者の暮らしをサポートしてきた七尾ひろ子さんはこう指摘する。

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