「運動機能が低下すれば、年齢に関わらず体のあちこちが思うように動かなくなって、重たいゴミ捨てや整理整頓など生活に必要な動作に支障が出てきます。さらに認知症の発症により捨ててよい物と必要な物の判断ができなくなるため、じわじわと不要な物をため込むようになりゴミ屋敷化していくケースが増えていきます」

 現在、自分の家が今ひとつ片づかないというのなら、できるだけ早い段階から、今までの片づけ方を仕切り直す必要がある。

 片づけは「家庭内物流システム」で習慣づけることを提案する。
 家庭内物流システムの原理原則は三つある。

【1】すべてのモノに定位置を決める
 使うモノはすべて、収納スペース内に「定位置」を決める。スペースには限りがあり、置けないモノがあれば、使用頻度の少ないモノは処分し、すべてのモノに定位置を確保する。
 老化第2段階を見越して、よく使うモノ、大事なモノは、腰から胸の高さまでの取り出しやすい棚に定位置を決めるのもコツだ。

【2】使ったら元の位置に戻す
 モノを取り出して使ったあとは、必ず元の定位置に戻す癖をつける。これは鉄則。あとで戻すからと、その辺にちょい置きすると、モノがあちこちに散乱し片づかず、探しモノの時間が増え、二重買いしてモノを増やすことにもつながる。

【3】捨ててから買う
 ほしいままに買っていては、家の中に大量のモノが滞留し、片づかない。一つ捨てたら一つ買う、一つ買ったら一つ捨てる、といった気分でモノの流れをスムーズにし、滞留物をつくらないようにしよう。

 ゴミ置き場は収納以上に重要だ。

 収納スペースは誰もが重視するが、ゴミ置き場やゴミ箱は軽視されがち。レジ袋をゴミ箱代わりにしているご家庭は意外に多い。

 家庭内物流システムでは、モノをスムーズに家から外へ出すために、三つのゴミ置き場所の確保は必須。三つのゴミ置き場所を経由して、3ステップ方式で不用なモノは家の中から外へ出す習慣を身につけよう。

【1】よく使う部屋には、それぞれゴミ箱を置き、それらのゴミ箱にたまったゴミは【2】台所にあるゴミ置き場の分別ゴミ箱に振り分ける。台所には、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミなど複数のゴミ箱を置くスペースを確保する。【3】さらにゴミ捨て待機所をつくる。

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