東京23区の区長らでつくる特別区長会は3月、高市早苗総務相(当時)に対し、「このままでは公共サービスの持続に支障をきたす」として、制度の見直しを求める要望書を出した。

 23区の16年度の影響額は前年度の約5.4倍の計129億円。区立保育所109カ所分の年間運営費にあたる規模という。17年度の影響額はさらに2倍ほどに膨らむ見通しだ。

 こうした都市部の自治体の声なども受け、総務省が返礼品見直しを呼びかけ、足元でブームは一服した。

 とはいえ、損している自治体数(462)に対し、得している自治体数(1279)は3倍近い。右のグラフのとおり、数億円単位で大幅に損している自治体は、全市区町村数(1741)からみると少数派。大幅に得している自治体も多い。

 都市から地方に振り向けられた、ふるさと納税マネー。政府の「地方創生」の呼びかけもあるだけに、都市部が取り戻すのは簡単ではないのかもしれない。

■“損”している自治体 <金額(億円)>
横浜市(神奈川県) −55.5
名古屋市(愛知県) −31.9
世田谷区(東京都) −30.8
大阪市(大阪府) −24.1
港区(東京都) −23.5
川崎市(神奈川県) −23.5
神戸市(兵庫県) −16.8
さいたま市(埼玉県) −15.9
京都市(京都府) −14.7
福岡市(福岡県) −14.6
杉並区(東京都) −13.7
大田区(東京都) −13.4
江東区(東京都) −13.3
渋谷区(東京都) −13.0
目黒区(東京都) −11.9
品川区(東京都) −11.8
新宿区(東京都) −11.4
札幌市(北海道) −10.3
文京区(東京都) −9.4
中央区(東京都) −9.0
西宮市(兵庫県) −8.9
練馬区(東京都) −8.6
堺市(大阪府) −8.1
豊中市(大阪府) −7.1
豊島区(東京都) −7.0
仙台市(宮城県) −7.0
江戸川区(東京都) −6.9
板橋区(東京都) −6.8
吹田市(大阪府) −6.2
中野区(東京都) −6.1
足立区(東京都) −6.0
千代田区(東京都) −6.0
千葉市(千葉県) −6.0
市川市(千葉県) −5.7
船橋市(千葉県) −5.3
藤沢市(神奈川県) −5.3
北九州市(福岡県) −5.1
川口市(埼玉県) −5.1
北区(東京都) −4.9
八王子市(東京都) −4.8
町田市(東京都) −4.7
浦安市(千葉県) −4.7
相模原市(神奈川県) −4.6
松戸市(千葉県) −4.5
葛飾区(東京都) −4.2
岡山市(岡山県) −4.2
武蔵野市(東京都) −4.1
姫路市(兵庫県) −4.1
柏市(千葉県) −3.9
台東区(東京都) −3.7

※総務省「2017年度ふるさと納税に関する現況調査」から編集部作成。各自治体の寄付受入額と住民税控除額の差を算出した。

週刊朝日  2017年9月29日号

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