中国人らは12年ごろから、都内の高級マンションを中心に買いあさってきた。購入してから5年を超える物件は、これから続々と増えていく見込みだ。

『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司さんは、東京のタワーマンションで、すでに“爆売り”が始まっている物件があると指摘する。

「東京・豊洲の複数のタワーマンションで、数十室が売りに出されているが、オーナーには中国人も多いとみられています。ほかにも、中国人が民泊用として所有していた物件を、民泊の規制強化によって手放す動きもあります」

 さらに深刻なのは、中国人はいったん売りに転じると、一斉に動くことだ。

「日本人と違って、中国人は東京に生活の基盤はない。損を覚悟で売り急ぐ人が出てくる可能性もある。日本の不動産市場が経験したことのない要素だ」

 と、榊さんは中国人の“爆売り”の与える影響の大きさを指摘した。

「住宅ローンの金利は今が史上最低水準。買うなら今がチャンス」

 あなたの自宅のポストに、こんなマンションの購入を促すチラシが入っていないだろうか。

 セールスは携帯電話にかかってくる時もある。

「いい新築物件があります。家賃収入でローンが払えるのでお得です」

 大手から中堅業者まで、マンションの販売競争は激しくなっている。その裏には、新築物件でもすぐには売れなくなった事情がある。

 前出の榊さんによると、東京都世田谷区などでは、完成しても売れ残りの部屋があるマンションが全体の6~7割を占める。販売が好調だった3~4年前は2~3割だったという。完成と同時にほぼ完売していた状況が、がらりと変わった。

 建設費も上昇している。人手不足から作業員らの人件費は高止まりしていて、建設資材もかさむ。業者にとっては減収要因だ。苦しい業者は、早く売ろうと営業に必死になっている。

 不動産業界と言えば、最近まで活況に沸いていた。ここ数年の不動産市場の動きを振り返ってみると、バブルが膨らんでいたことがわかる。

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