東京の中心部では高層マンションが立ち並ぶ
東京の中心部では高層マンションが立ち並ぶ
マンション価格の推移(週刊朝日 2017年9月29日号より)
マンション価格の推移(週刊朝日 2017年9月29日号より)

 不動産市場に異変が起きている。郊外では売れ残る新築マンションが続出し、“爆買い”していた中国人は売りに転じた。価格は今がピークと言われ、いつ急落してもおかしくない。

【図版】こんなに変わった!マンション価格の推移はこちら

「中国人が“爆買い”から“爆売り”に転じるかもしれない」

 いま、不動産業者の間で、こんなうわさがまことしやかにささやかれている。

 都内にある中国や台湾などの顧客を抱える不動産会社の担当者は、2015年くらいから売りに転じる人が増えていると打ち明ける。

「直近でも台北在住のお客さんが、投資用に購入した都内の一戸建て住宅の売却を検討しています」

 この男性のお客さんは、マンション価格が暴騰している台北に比べるとまだ購入しやすいとして、東京の不動産に期待していた。

「ただ、実際に買ってみると、管理費など維持に予想以上にお金がかかります。円高に振れるなど外国為替の状況次第で、投資のメリットがなくなり、嫌気が差して手放す人が多い。少子高齢化など日本の将来を不安視して、売った人もいました」

 高くなった東京の不動産をあきらめて、福岡県など地方都市に目を向ける中国人もいる。戸建て住宅と投資用マンションを福岡市などに持っている貿易業などを営む女性は、

「福岡は生活費が東京ほどかからないし、不動産の価格もまだ安い。首都圏の物件はもう投資目的の割に合わなくなった」

 と明かす。

 また、中国政府の規制強化で、海外に資金を持ち出しにくくなっている。そのため中国人はお金があっても、不動産を買いにくくなった。

 売りを後押ししている要因には、日本の税制もある。土地や建物の譲渡所得に対する税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで変わってくる。5年以下の場合は「短期譲渡所得」とみなされ、所得税と住民税合わせて39%かかる。5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり20%ですむ。売るなら5年たってからの方が断然有利だ。

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