土俵入りを終え記念撮影した(左から)横綱の稀勢の里、白鵬、日馬富士、鶴竜=7月、名古屋市熱田区の熱田神宮(c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 9月7日に稀勢の里(31)と鶴竜(32)の2横綱が休場を発表し、翌8日の取組編成会議直前には白鵬(32)も休場届を提出と、大相撲秋場所が初日から3横綱不在という〝昭和以降初〟の異常事態の中で開幕した。

 最も深刻な状況の横綱は、師匠の井筒親方が「申し訳ない」と恐縮しっぱなしだった鶴竜。先場所3日目に右足首を痛めて休場したが、そこだけでなく甲も剥離骨折しており、「踏み込みが100%の力でできない」(本人談)。

 今年になって5場所中4回目の休場で井筒親方が「今度土俵に上がるときは決断させてもらう。九州にかけてもらいたい」と語ったように、11月の九州場所で進退をかけることになった。

 そして19年ぶりの日本出身横綱として今や相撲界最高の人気者、稀勢の里はというと……。

「1日の横審の稽古総見のとき、体はブヨブヨで、腕が細くなっててねぇ……」

 相撲記者はこう言っていたが、師匠の田子ノ浦親方も「ケガというより、相撲を取れる状況にない」と語り、本人から「休場させてください」と言ってきたことを明かしていた。

 稀勢の里も3場所連続の休場である。次は鶴竜のように進退をかけて、という話になるのか?

「この場所後の横審が何と言うかで、まだわかりません。ただ基本的には、今の大相撲は黙っていてもお客さんが入る人気ぶりで、その中心が稀勢の里。いてもらわないと困る、という空気がありますから、厳しいことは言わないんじゃないですか」(ベテラン記者)

 白鵬に関しては、こんな声が聞かれた。

「先場所で大記録(通算勝利数は史上1位の1050で39回目の優勝)を作り、モチベーションが上がってこない、というのが現実なんじゃないですか。場所前の稽古を見ていると〝やる気〟が感じられませんでしたからね。宮城野親方が今回の休場を発表したとき、『左膝が痛いのは確か』という妙な言い方をしたそうで(笑)、『膝はホントに痛いの?』という無言のツッコミを感じているんでしょう」(スポーツ紙デスク)

 3横綱の休場で、優勝は唯一出場する横綱・日馬富士を中心に、大関・高安、関脇・御嶽海らの争いでは、と見られている。

「この状況、若手にはチャンスなんですよ。御嶽海は『上を目指します』と言ってましたが、優勝争いが大関獲りにつながりますからね。高安も、横綱への道が大きく開ける場所になるかもしれない」(同前)

 若手はチャンスを生かせるか。(岸本貞司)

週刊朝日  2017年9月22日号

[AERA最新号はこちら]