夫:年をとってくると体力的にも精神的にもいろいろとおっくうになるので、何の気兼ねもなくつきあえるのは家族と趣味の仲間ぐらいです。

妻:集中力も落ちてきて、ちゃんと話をするのも疲れることがあるので、あんまりしゃべらないでもいい家族は楽なんですよ。

夫:俺なんかサーフィン以外に話すことないですからね(笑)。

妻:50代からは体力維持が大事だから、お互い体を動かすことが趣味でよかったと思ってます。子どもに迷惑かけるわけにいかないし、今後は夫婦で助け合っていくしかないですからね。

夫:仲良く散歩している老夫婦とか見ると、ゆくゆくはああいう関係がいいのかなと思うよ。

妻:今は、お互い自分のペースを崩したくないんですよ。だからお互いのことに口出しはしませんね。私が健康食やアンチエイジングにこだわっても、好きにさせてくれますし。お互いフリーランスで体が資本の仕事をしていますから、健康志向の意識の高さは似ているかもしれないですね。

夫:以前、この人がマクロビオティックにハマって肉を食べさせてもらえなかった時期もありました。でも、作った料理がマズかったら困りますけど、おいしいからまったく気にならなかったですね。

妻:ところで、この場を借りてダディに言いたいんだけど、ひとつだけ直してほしいことがある。

夫:はい、なんでしょう?

妻:サーフィンとか行っちゃうと電話もメールもできなくなるから、行方不明になることが多いじゃない?どこに行ったかわからなくなるのは、心配になるからやめてほしいのよ。

夫:海に行くときは文句を言われるのがイヤだから、携帯電話は切ってるんです。

妻:え? こころよく「行ってらっしゃい」って言うじゃん。

夫:「また海なんだ」とか言われると、それだけで気分を害されるんで……。

妻:被害妄想だよ(笑)。

夫:いや、良心の呵責が(笑)。

妻:まあ大人同士だから、たとえ妻でも相手がやることを禁止する権利なんてないしね。それに血液型がB型同士だから、お互い自由にやらせてくれないと息が詰まっちゃう。娘がO型だから、なんとなく家族をまとめてくれてる感じです。

夫:娘が一番大人ですよ。

妻:娘は社会性があるけど、私たちは社会性も協調性もないですから。それでも長続きしているのは、やっぱり美大系だからかな(笑)。

週刊朝日 2017年9月8日号より抜粋