
親の死は考えたくないけれども、誰にでもやってくるもの。お盆などの帰省時には、今後のことについて聞く機会も多いだろう。後悔しないよう、相続や遺言についても、きちんと話し合っておくことを薦めたい。
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相続はまず、相続人を知ることから。相続でもめるとすれば、相続人が関係することがほとんど。まずは、親の遺産の相続人になる可能性があるのは誰か、洗い出してみると良い。
親の資産の確認で、借金は要注意。多額の借金などマイナス財産しかない場合は、3カ月以内に手続きすれば相続放棄ができる。『終活のススメ』などの著書で知られる、行政書士の東優さんは言う。
「まずは借金の有無、金額の確認が急務。3カ月を超えると、単純承認とみなされて借金を被ることになります。親の財産を把握していない場合には、すぐに調べる必要があります」
争いを避けるためには遺言書を準備してもらうと安心だ。法律で方式が決められているが、よく利用されているのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」。東さんは、手続きをスムーズに進めたいなら公正証書遺言をすすめる。
「自筆証書遺言は、様式不備での無効や、保管場所によっては紛失や書き換えの心配も。一方、公正証書遺言は証人2人の立ち会いが必要ですが、公証人が作成するため不備も極めて少なく、公証役場で保管されるので安心です」
最後に、心の準備で大切なことを。意識して親に「ありがとう」を伝えよう。冒頭の佐竹さんは、「もっと感謝の気持ちを伝えておけば良かった」と今でも悔いている。そうならないためにも親にしてあげたいことを言葉で伝え、行動で示す。自分を育ててくれたことへの感謝や親を慕う気持ちが伝わると、高齢の親の生きる活力になる。
親の死は、考えたくはないけれど、誰にも必ずやってくるもの。後悔しないために今から、準備を始めよう。
※週刊朝日 2017年8月18-25日号より抜粋