
「駅 STATION」(1981年)、「夜叉(やしゃ)」(85年)、「鉄道員(ぽっぽや)」(99年)など、数々の名作を世に送り出してきた監督・降旗康男と撮影・木村大作の名コンビ。その2人が9年ぶりにタッグを組んだ映画「追憶」が公開された。主演の岡田准一さんと降旗監督が対談し、「追憶」でのロケの様子などを語り合った。
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降旗:このホンをやるなら、主人公の四方は岡田准一さんしかいないと思っていました。立っているだけで感情がこもっている方がいい、岡田さんならそうなってくれるんじゃないかと。
岡田:光栄です。監督には「抱えているものを惜しみなく出してください」と言われていたので、その答えを探しながら現場にいたような気がします。
降旗:岡田さんの斜め後ろからの姿は、高倉健さんに通じるものがある。背は健さんのほうが高いんだけど、一人の人間として、同じような人生を背負って生きている感じがします。
岡田:健さんは唯一無二の方ですからね。ただ、このお話をいただいたときにいろんな方から、「降旗監督と木村大作さんは、健さんを撮っていた方ですよ」と言われ、ちょっと気負いすぎてしまった部分はあるかもしれません(笑)。でも、すごく楽しい現場でした。富山ロケは3週間ほどでしたが、毎日午後2時3時という早い時間に、撮影が終わるんですよ。だから小栗(旬)君や(柄本)佑君と一緒にサウナに入っては、「俺たち、ちゃんとできてるのかな?」と反省会をしてました。最終的には「この現場に入れたことは、本当に幸せだよね」という話で終わるんですが。