転職を考える人たち向けのセミナーや相談会が各地で開かれている (c)朝日新聞社
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 新年度が始まり、今は転職市場が最も盛り上がる時期。人手不足で求人数は過去最高を更新し、「転職バブル」とも言われる。

「転職市場に18年間関わっているが、今が最も活況だ。目標どおり人材を確保できている企業は一握りしかいない」

 こう指摘するのは、大手人材会社インテリジェンスの転職サービス「DODA(デューダ)」の木下学編集長(40)。2008年後半のリーマン・ショックで求人は急減したが、徐々に回復して13年後半ごろから大きく伸びている。

 DODAがまとめた2月の概況によると、サービス登録者に対して中途採用の求人が何件あるかを示す「転職求人倍率」は、前月比0.03ポイント増の2.38倍になった。

 求人数は前月比2.5%増と最高を更新し、転職希望者数は同1.3%増だった。4月入社をめざして求人を出す企業と転職活動をする人がともに増え、かつてない活況となった。3月以降も採用意欲は衰えておらず、転職求人倍率はさらに上がる可能性が高い。

 木下編集長は「就きたかった仕事や大企業に移れるチャンス。希望に近い求人があれば、応募することをお勧めしたい」と話す。

 転職で満足感を得られるのは、給料や役職が上がったときだけではない。最近はキャリアアップよりも、家庭や子育てを重視する流れが強まっている。

 家事代行サービスのCaSy(カジー、東京)で広報を担当する里田恵梨子さん(35)は、昨年11月に写真サービスの会社から転職した。

「前の会社も待遇は悪くなかったが、子どもを保育園に預けながらの仕事が大変だった。子育て中の社員も少なく、仕事との両立に悩んでいるときに転職サイトでカジーを知った。私のような人を支えてくれるサービスだと思い、面接を受けることにした」

 カジーは14年設立で、社員20人弱のベンチャー企業。首都圏の主要都市などで家事代行をしている。登録スタッフは約1500人で、利用者は約1万5千人。アットホームな雰囲気で、経営者も子育てに理解があったという。

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