プロゴルファーの丸山茂樹氏は、先日の米女子ツアーで見られたペナルティーについて、疑問を呈する。

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 いやはや、レキシーが気の毒でたまりません。

 アメリカ女子ツアーのメジャー第1戦「ANAインスピレーション」(3月30日~4月2日、米カリフォルニア州ランチョミラージュのミッションヒルズCC)です。試合はプレーオフにもつれこみ、ユ・ソヨン(韓)がレキシー・トンプソン(米)を下してメジャー通算2勝目を挙げました。レキシーにとって踏んだり蹴ったりの最終日でした。

 彼女は単独トップで迎えた12番でボギー。13番へ向かって歩いてるとき、競技委員に呼び止められ、4打罰を通告されたんです。前日の映像を見たテレビ視聴者から最終日になって「第3ラウンドの17番でレキシー・トンプソンがグリーン上のボールを拾い上げてマークしたあと、元とは違う場所に戻してプレーした」との指摘があり、チェックしたところ、「誤所からのプレー」と「スコア誤記」と判断されたからだと言うんです。それぞれ2打罰で計4打罰。レキシーは6ホールを残した時点で通算16アンダーから12アンダーとなり、動揺して涙を浮かべながらプレーしました。何とかプレーオフまで持ち込んだんですが、力尽きました。

 次の日になってですよ、しかも佳境の13番を前にして4打罰を科すなんて……。このルールってどうなの、と思います。問題のパットは50センチほどで、場所の誤差も数センチ。横からマークして戻してるんで、ちょっとしたズレはあるんです。とても故意とは思えない。その日のうちに出てこなかった指摘は、翌日に持ち越さないと決めた方がいいんじゃないですかね。過去を振り返っていろんな話をしたら、キリがないじゃないですか。このルールは改正してほしいですね。

 あれじゃ、優勝した方が気まずいですよね。ユ・ソヨンもいい選手なのに、「こんなのでいいのかな」と思っちゃったりしますよね。レキシーはついてなかった。このあと、いいことがあるんじゃないですか?

 
 話は変わりまして、大相撲春場所で優勝した新横綱稀勢の里(30)は左の上腕二頭筋と大胸筋を痛めてたんですね。1カ月の治療が必要だとか。13日目にけがをして、でも休場はしなかった。1月の初場所だけの優勝で横綱に昇進したから、どうしても「甘い昇進」なんて言う人が出てくる。だからこそ、稀勢の里には優勝しなきゃならない場所だったんでしょう。千秋楽の本割と優勝決定戦で照ノ富士に続けて勝った相撲には感動させられました。

 相撲に人生をかける気持ちのすべてが出た気がしました。プライドと誇りをすべてかけて優勝したってのは、もう僕なんかがとやかく言うことじゃないですね。素晴らしいのひとことです。歴史的な一番になったんじゃないですかね。

 さて最後にお知らせです。5月20日に東京で「丸山茂樹ジュニアファンデーション 親子ショートコースゴルフ大会 in ハイランドセンター」を開催します。すでに募集が始まってます。対象は小学1~4年生の男女で30人。保護者の方に帯同キャディーで参加してもらいます。締め切りは4月24日です。

週刊朝日 2017年4月21日号