認可申請取り下げで宙に浮いた「瑞穂の國記念小學院」の校舎
認可申請取り下げで宙に浮いた「瑞穂の國記念小學院」の校舎
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「真っ赤な中華料理屋みたいなやつ」

 森友側からの金品の働きかけがあったことを暴露した鴻池祥肇元防災担当相がそう呼んだ「瑞穂の國記念小學院」。森友側の認可申請取り下げで、どうなるのだろうか──。

 森友と財務省近畿財務局が取り交わした契約では、この3月末までに開校準備ができなければ、国は土地を買い戻すか、契約を解除することになっている。その際、森友側が校舎を解体して更地にする義務がある。すでに国は土地の返還を求めており、売却価格の1億3400万円のうち、分割払いで頭金として受け取った2787万円を森友側に返すことになる。森友も違約金として売却額の10%を納める必要があり、実際に国が支払うのは差額の約1400万円になる。

 一方、籠池氏は「開校の延期です。建物は潰さない」と表明。両者、睨み合いの状態だ。

 契約書によれば、時価の3割に相当する特別違約金を支払えば小学校の土地は森友側が今後も確保できることになっている。

 しかし、森友は約15億円で校舎の建設工事を受注した施工業者への代金の支払いさえ滞っている状態。校舎の解体費用の捻出は困難と見られる。郷原信郎弁護士はこう指摘する。

「土地を差し押さえた後、国は建物を残したまま買い戻すこともできますが、校舎として設計された建物ですから用途は限定される。やはり更地にしなければ、新たな買い手がつくとは思えません。国が代わりに校舎を取り壊して、森友にその費用を請求することになりますが、森友は解体費用を払えないでしょう。となると、破産するしかありません。

 施工業者も気の毒ですが、約11億円あるという未払い分を取り返すことは難しい」

 森友が返還を拒否し続けた場合、訴訟に発展する可能性もある。たとえ国側が首尾よく土地を買い戻せたとしても頭の痛い問題は解消しない。

「今度は土地の価格をいくらで見積もるのか。地下のゴミの撤去料8億円が不当だったことを、国は自ら認める事態に追い込まれかねません」(郷原氏)

 厄介な出来事が今後も続くことになりそうだ。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2017年3月31日号より抜粋