後者については、まったく考えていないです。
──国民的スターともなると、意識せざるを得ないのでは?
なんですか、国民的スターって(笑)。僕はぜんっぜんそういう頭はない。目の前の仕事に向き合うだけです。
──“キムタク”といえば、いい男の代名詞に等しい。「中身も外見もカッコいい」ことが要求される。それがイヤになることは?
そういうの気にしてないです(笑)。中身について言えば、人との出会いがすごく大きいですね。「スゲェ。これはやられた」と思わせてくれる方は、本当にたくさんいらっしゃいます。そういう人たちとの出会いが自分に与えてくれる影響はものすごく大きい。
──このドラマにも、主役級の豪華キャストが集まっています。
「スゲェやつが集まっている」という感じです。冷静に考えてみると、「やべー、俺もその一人じゃん」という。
──その中で主役を張るプレッシャーは?
プレッシャーや気負いというものを現場に持ち込んで、プラスになることなど何一つない。一緒に作業をしてくれるスタッフや共演者の方々と、前を向いて進めていくことしか考えていません。
──沖田はよく、「大丈夫」という言葉を口にします。このドラマのキーワードと感じました。
本当は医師が患者さんに対して「大丈夫」と言うのは、よくないそうです。医療に100%はないから、万が一の事態を考えざるを得ない。でも、患者さんやご家族が一番求めているのは、そのセリフなんじゃないかって。それでスタッフさんや脚本の橋部敦子さんとも話して、「じゃあ、言っちゃおうよ」となりました。沖田がこの言葉を口にするときは彼の深いところできちんと消化されてるし、それを言ったからこそ、現実のものとするために必死になるわけです。「大丈夫」って、医者と患者に限らず、ものすごく大きい言葉だと思います。心や体に傷を負ったとき、不安や恐怖や悲しみがあるとき、誰かの「大丈夫」がものすごく助けになる。一番最初にかけるべき言葉なんじゃないかと思いますね。
──「大丈夫」という言葉、普段から使いますか?
う~ん……、自分自身に言うときは、たまにありますね。気持ちが傾きかけているときに、「大丈夫、大丈夫」って。
──過去のインタビューでは、「求められることがうれしい」と話していました。
それがすべてじゃないですか。誰も求めてくれなかったら、自分たちは存在する意味も、続ける意味もないと思います。そのために前を向き、進んでいくだけです。
※週刊朝日 2017年1月20日号