「近隣の都市を含め、できるだけ既存のものを利用し、開催後も利用可能な体制を取ったほうがいい」
だが、そう簡単ではない。森喜朗・大会組織委会長は「国際オリンピック委員会(IOC)の理事会や総会で全部決まっているのをひっくり返すのは極めて難しい」と、計画見直しに難色を示した。組織委理事の橋本聖子参院議員が言う。
「五輪開催は組織委が主導するのが常識です。小池知事がいかにIOC、競技団体と折り合いをつけられるかがカギになる。最終的にはIOCが判断することだと思います」
元都職員で16年五輪の招致を担当した鈴木知幸・日本スポーツ法学会理事はこう語る。
「国際競技団体(IF)を説得できればIOCは変更を承認するでしょうから、不可能な話ではない。ただ、3施設ともすでに業者と契約し工事も一部で始まっており、建設中止なら違約金が発生する。代替施設もそのまま使えるわけではなく、周辺のプレスセンターや選手村分村の整備にも新たに費用がかかる。そうしたコストもすべて明らかにして、慎重に検討する必要があります」
小池知事はこれらの難問を突破できるか。(本誌・小泉耕平、上田耕司、村上新太郎、西岡千史)
※週刊朝日 2016年10月21日号より抜粋