小池都政には、膨れ上がる東京五輪・パラリンピックの経費の削減という課題もある。都政改革本部の調査チームが9月29日、衝撃的な報告を打ち出した。五輪の大会経費が3兆円を超える可能性があるとして、建設予定の「有明アリーナ」「五輪アクアティクスセンター」「海の森水上競技場」の施設について、建設中止も含めた計画の見直しを求めたのだ。
実は、高額な五輪施設が「負の遺産」となった前例がある。1998年に冬季五輪を開催した長野市だ。
長野市は五輪のためスケート会場など6施設を新設し、計約1180億円を拠出。97年度の市債残高は過去最高の約1900億円に達したが、五輪後は景気が低迷。6施設の近年の利用料などの収入は1億円に満たず、市は毎年、施設の維持管理費に約10億円を支出し続けている。開催から約20年を経た来年度に建設費返済は終わりそうだが、維持管理費の負担は施設を解体しない限り永久に続く。
中でも深刻なのはボブスレーとリュージュが行われた「スパイラル」だ。総事業費は約100億円。コースを冷やす電気代などで年2億円支出しているが、競技人口が全国で約150人しかおらず、収入は年700万円だという。加藤久雄・長野市長は昨年、東京へこうアドバイスを送っている。