
「おはようございます。コイカナこと小池可奈です!」
9月21日午前3時の放送を最後に、おなじみのフレーズを聞けなくなる。文化放送「走れ!歌謡曲」のパーソナリティーを計26年間務め、番組の顔ともいえる小池可奈が“卒業”する。
1968年から続く人気長寿番組で、タクシーやトラックのドライバー、早起きの中高年らにはおなじみだ。落合恵子、戸田恵子、川中美幸らもパーソナリティーを務めたが、小池は歴代で最長だった。
「番組そのものが終わると思われた方や、『私が死んだら天国から応援しようと思っていたのに』という方もいらっしゃいました」
卒業を控えたコイカナは、そう笑う。
「日課の散歩で通る神社の前に、名言・格言のような『おことば』が書かれているんです。卒業が決まったとき、そこにはトヨタの創業者、豊田佐吉さんの言葉、『障子をあけてみよ、外は広いぞ』と書かれていました。ああそうなんだ、ようやく広い世界、昼間の明るい世界に出ていくときなんだと。寂しいよりも晴れ晴れとした気分なんです」
番組は半世紀近く歌謡曲の歴史と寄り添ってきた。小池は、石原裕次郎や美空ひばりの訃報を番組内で伝えた。
「ひばりさんのときは、放送直前まで局内が大混乱だったことを覚えています」