お得な電気を買い物客にPRする販売担当者 (c)朝日新聞社
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 4月に家庭向け電力販売が自由化されてから、まもなく半年になる。電力販売に参入した「新電力」会社は300社超あるが、実際に家庭に売っているのは数十社。主な会社に取材し、契約数を調べると価格差、信頼感、販売力などで明暗が分かれていた。

 トップは東京ガスで、初年度目標の40万件をすでに突破し、53万件に引き上げた。大阪ガスが17万件と続き、上位は都市ガスやLPガスの会社が目立つ。ガス機器の販売やボンベ交換で家庭を訪問する営業力が強みになっている。天然ガスによる発電が多い。

 東京急行電鉄系の東急パワーサプライも堅調で、5万7千件。電気代の節減に加え、東急の電車やバスの乗車でたまるポイントが2倍になる利点がある。

 広報担当者は「電力は鉄道と並ぶ第2の公益事業。短期的利益でなく、沿線価値向上が目的です。今年度10万件、10年後に沿線約250万世帯のうち55万世帯の契約が目標です」と話す。

 大手以外で健闘するのは、コープさっぽろなど生協系の電力会社。太陽光発電など自然エネルギーを中心にした電気を掲げる。東京電力の福島第一原発事故で高まった脱原発を望む声が、追い風になっている。

 太陽光発電システムの販売で成長したベンチャー企業のLooop(ループ)も上位入り。東日本大震災後、被災地での太陽光パネル設置のボランティアを機に創業し、「電気も、自然派でいこう!」とPRする。

 同社の特徴は基本料金ゼロと、通常は3段階に分かれる従量料金単価の統一。小嶋祐輔部長は「わかりやすい料金が好評です。ただ、大手も値下げ攻勢をかけており、対抗策を検討中。本格的な戦いはこれから」と話す。今は東京、中部、関西の3エリアで販売中で、東電の管内が約7割だ。9月から順次、北海道、東北、中国、九州にも広げる。

 みんな電力も同じベンチャー系で、自然エネルギーを前面に出す。申し込みは約1500件とまだ少ないが、太陽光発電を中心に、小規模の市民発電所を関東圏に約40カ所確保した。

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