Bさんが怒りを押し殺すようにして語る。
「昨年の2月ごろから、小松さんは挨拶もしてくれなくなり、料理の味に文句を言うようになりました。昨年8月になって突然、13年も勤めた食堂から、護摩堂へ異動させられました。お札を書いたりするところで、書のたしなみのない私には不向きで困ります」
不当な人事に黙っていられなくなったBさんは、Aさんとともに県内の労働組合に加入する。この対抗措置に逆上した小松貫主は事実無根の暴言を吐く。「Aさんはヤクザの情婦で入れ墨を消した跡がある」と言ったり、Bさんに対しても差別的な発言をしたりしたという。この発言を大勧進の僧侶や職員など複数の人物が聞いている。
大勧進の一山代表、円乗院の中島道生住職は憤る。
「天台宗は現在、同宗連(『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議)の議長をしており、小松さんの発言は絶対に許されない。過去にも素行の悪さから辞任を求めてきたが、今回は天台宗全体からしても看過できない事態だ」
大勧進の事務所を訪ねると、小松貫主の件は弁護士に一任しているとのこと。 その弁護士に連絡した。
「差別発言などの事実は一切ない」
と否定した。
年間600万人もの参拝客が訪れる善光寺。騒動後、「拝みたくない」と観光バスから降車を拒む客も出るほど。小松貫主は6月28日に予定されていた事実確認をする会合をドタキャン。“生き仏”も身の置き場のない境地か。
※週刊朝日 2016年7月15日号