「明らかな嫌がらせです。私は、衛生問題がこれからの自衛隊には重要になってくると思い、強い関心を持っていました。特に、戦場の前線における救命措置を第一線救護といいますが、この分野は世界中の軍隊が力を注いでいます。しかし、日本の自衛隊では、戦闘で死者やケガ人が出ることを想定することをタブー視してきました。私は有志の自衛官に呼び掛け、独自に勉強会を開いていました。それで睨まれたのです」

 A氏の業務用パソコンを研究部長たちは、A氏が不在の時に盗み見ていた疑いがあるという。パソコンには第一線救護の資料や、勉強会の写真が保存されていた。その中には、ミリタリーショップで購入したヘルメットに迷彩服姿のモデルが、ゴム製模擬銃を構える姿も写し出されていた。そのことを捉え「官品を横流しした」と言いがかりもつけられたという。

 駐屯地内で毎日4時間、1週間にわたって取り調べを受けた。ただでさえ、教科書の原稿書きに忙殺されており、A氏に対し、二重三重の“いじめ”ともいえる行為が仕組まれたのである。

 それでもA氏は、3月20日までに教科書の原稿を書き上げた。休日出勤を余儀なくされたが、実際には取っていない代休を消化したかのように管理簿には記入されていたという。

 A氏によると、研究管理幹部だった隊員も優秀な研究者だったが、やはりパワハラを受けたという。過剰な勤務を命じられたかと思えば、急に仕事をまったく与えられないなどの仕打ちを受けた。精神的に不安定になり、現在も病欠中だ。

 その後、総務部に異動したA氏は毎日、掃除ばかりさせられ、昨年11月、ついに依願退職せざるを得なくなったという。

暮らしとモノ班 for promotion
ヒッピー、ディスコ、パンク…70年代ファションのリバイバル熱が冷めない今
次のページ