「この子がロンドンで歩いてたら絶対撮るな、という直感ですね」と青木正一さん(撮影/写真部・長谷川唯)
「この子がロンドンで歩いてたら絶対撮るな、という直感ですね」と青木正一さん(撮影/写真部・長谷川唯)

 そのすべてのページが原宿のストリートスナップ、という雑誌がある。

 月刊誌「FRUiTS」。1996年創刊。雑誌に掲載されるのは、すべて原宿の街を歩く、「普通の」若者。専属モデルがいたり、最新の流行ブランドを紹介したりしない。文章もほぼなし。読者は1枚の写真から、そこに写るファッションの個性を読み解いていく。発行部数3万部。全国の書店で発売され、原宿の今を知りたい、地方や海外の読者も多い。

「90年代に、原宿の子たちが、雑誌やアパレル主導ではなく、自分たちの好きな格好をし始めたんです。すごいことが起きてるぞ、と感じました」

「FRUiTS」を発行する、ストリート編集室代表、青木正一さんが、創刊のきっかけを語る。

「原宿の、その瞬間の『オシャレなコ』のドキュメンタリーとして撮ってます。オシャレだな、オリジナリティーがあるなと思うのは、絵画や音楽と同じで、説明はできないけどいいな、と思う感覚に近いですね」

 原宿のストリートスナップのみに特化した、今までなかったスタイルは、創刊時から話題になった。

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