摂食嚥下障害に気づくためには?(※イメージ)
摂食嚥下障害に気づくためには?(※イメージ)

「食べる」ことは単に栄養をとるだけでなく、人間の根源的な欲求を満たし、生きる楽しみにもつながる。その妨げとなる「摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害」。脳血管障害やのどのがん手術などで高齢者に多く発症するが、本人も気づかないのが怖いポイント。摂食嚥下障害の早期発見や治療などを専門医たちにQ&A方式で聞いた。

Q:摂食嚥下障害に気づくためには、どんなことに気をつけたらよいですか?

A「注意点は主に食事時間が長くなっていないか、体重が減っていないかです。毎日、顔を合わせているご家族は、これらの変化を見過ごしがちです。

 高齢者の場合、インフルエンザや肺炎、骨折、一過性の脳梗塞、歯の不具合といった、直接は摂食嚥下障害につながらないような不調が重なり、本人も気づかないうちに摂食嚥下機能が低下することがあります。

 すると、食べられなくなり、全身の状態も衰え、摂食嚥下機能がさらに低下するという負のスパイラルに陥っていきます。食事時間や体重の変化などを注視し、早めにリハビリを始めましょう」(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武歯科医師)

Q:摂食嚥下障害の場合の食べ物の工夫はどうすればいいでしょうか?

A「食べ物はパサつくもの(クッキーなど)、繊維の強いもの(ごぼうなど)、粘り気のあるもの(など)、口にくっつくもの(のりなど)は避けたほうがいいでしょう。食事は基本的にひと工夫して、まとまりやとろみのある、比較的すべりのよいものにしてください。

 例えば、ひき肉がパサつくハンバーグは濃厚ソースのとろみで“つなぎ”にしてみましょう。

次のページ