どうでしょう、この大家族にスッと溶け込みながらも、だいたい死んでる絶妙な空気力。薄味です。しょっぱいです。

 この適度な影薄感=希少動物感が、ファンシーにもヤンキーにも行かないスキマ女子(主にサブカル系)のド真ん中を貫くのだ。今回、「コウノドリ」では、ほとんど笑顔を見せず、患者の妊婦さんには塩対応する産科医役。ある瞬間、そんな塩顔がついにくずれ、彼は小さく「アハッ」と笑う。もう、日本中のスキマ女子沸騰の瞬間である。美空ひばりの「お祭りマンボ」かってくらい、TV画面の前ではバンバン塩がまかれて、「そ~れそれそれお祭りだ~!」状態のスキマ女子なんである。変化の薄い塩顔の、わずかな変化を愛でる、この醍醐味。

 ミュージシャンにして俳優である星野源。同じカテゴリーにいる福山雅治は、思えばファンシーでもあり、ヤンキーでもあり、ちょっぴり塩風味もある全方位型ハイブリッド種だった。それが「結婚」というスパイスを加えた途端、なんということでしょう。劇的なビフォーアフター、この味変により女子たちが、福山を見る温度が10度は下がったと思われるほど。シンプルな薄塩味をいつまで守れるか。星野源も味変には、くれぐれもご注意を。

週刊朝日 2016年1月1-8日号

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