中国経済のバブル崩壊、ギリシャの財政危機に加えて、市場でささやかれていたリスク要因が過激派組織「イスラム国」(IS)だ。
今夏、世界経済のリスク要因について、あるエコノミストに尋ねた。彼はこう言った。
「中国やギリシャの問題は、問題が表面化したときに起こり得ることを想像できる。だが、ISはどの程度、経済に影響を及ぼすか想像ができない。テロの規模や程度にもよるからだ。世界経済の一番のリスク要因は、中国でもギリシャでもなく、えたいのしれないISかもしれない」
そのリスクが、半年もしないうちに表面化した。だが、株式市場はほとんど反応しなかった。
パリ同時多発テロ後の16日の日経平均株価(終値)は、前週末比203円22銭安で、1万9393円69銭だった。欧米の相場が荒れなかったため、株価はすぐに回復した。
BNPパリバ証券チーフクレジットアナリストの中空麻奈氏は解説する。
「市場はISのような地政学リスクで動くのは苦手。不安なので売ろうと思うのだが、何を売ったらいいかわからない。売り買いを決められないまま時が過ぎるのが、正直なところでしょう」
もし、オランド仏大統領の身に危険が及んでいたら、そうはいかなかったとの見方もある。
オランド大統領はテロ当日、スタジアム「スタッド・ド・フランス」でサッカーの試合を観戦。そこにテロ犯の一人が入場しようとしたが、持ち物検査で引っかかり、スタジアムの外で自爆した。