参院の安保法制特別委員会で8月11日、共産党の小池晃議員が暴露した自衛隊の内部資料のタイトルは、「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」。自衛隊統合幕僚監部が作成したものだ。今年4月に18年ぶりの改定が合意された日米防衛協力の新ガイドラインと、参院で審議中の安保法案の成立を前提に、今後、自衛隊が海外でどのようなミッションをするかを詳細に検討したものだ。
今後のスケジュールとして安保法案成立は8月中、施行は来年2月とされ、平時から自衛隊を事実上、米軍の指揮下に組み込むことが前提となる。さらに来年3月から安保法制を反映させ、陸上自衛隊は南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で「駆けつけ警護」を実施することも検討されている。駆けつけ警護とは、PKOで活動中の自衛隊が、他国軍や民間人が危険にさらされた場所に駆けつけ、武器を使って助けることで、今のPKO法では認められない。しかし、資料では「駆けつけ警護は『任務遂行型』の武器使用となります」と記されていた(任務遂行型とは、自己防衛を越える武器使用)。他にも米軍が南シナ海で展開している監視活動への関与も検討されていた。
「この文書について防衛省は箝口令をしいていますが、内部資料は統幕で作成したパワーポイントの一部のようです。統幕は寄り合い世帯なので様々な意見があり、安保法制反対派が小池議員にリークしたのでしょう。安保法制の施行を2月と想定すると、自衛隊員を海外派遣する前に必要となる訓練には半年ほどかかる。『駆けつけ警護』を実施するなら、武器、物資の調達、隊員選抜などをもう始めないと間に合わないのです」(自衛隊関係者)