チプラス・ギリシャ首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
チプラス・ギリシャ首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 世界中がギリシャのチプラス首相に翻弄されている。

 借金がかさむギリシャは、欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3機関「トロイカ」から緊縮財政を進めるように求められている。これに応じないためEUなどからの金融支援を止められたギリシャは、銀行窓口閉鎖とATMの引き出し制限を実施し、資金の流出を防いだ。

 新たに金融支援を受けるには、トロイカを納得させる財政再建案を出す必要があるのだが、チプラス首相は反緊縮の御旗をなかなか降ろそうとはしなかった。

 チプラス首相は40歳にして独メルケル首相、IMFのラガルド専務理事など名だたるエリート相手に物怖じすることもない。

 EUなどによる緊縮策の是非を問う国民投票の結果、緊縮策NOが多数を占めた際には、高らかにこう勝利宣言した。

「民主主義は脅迫に勝った」

 どんな人物なのか。東京大学特任講師でギリシャ近現代史に詳しい村田奈々子氏は言う。

「歴代の首相は海外の大学で博士号を取った人や政治家の家系が多かったのですが、チプラス氏は国内大学の出身です。中産階級の出身で、奥さんは学生時代の同級生で、彼女一筋なところが好感を持たれています。理想主義者で人の心をつかむ能力もありますね」

 ネクタイ嫌いで、「散髪(ヘアカット=債務減免)してくれるならネクタイをしめる」とジョークを飛ばしたことも。飾らない人柄も好感を持たれる要因だ。

 ギリシャのバルファキス前財務相も、「チプラス劇場」の立役者の一人。坊主頭で俳優ブルース・ウィリス似の顔立ちだ。

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