基地問題で強硬路線を崩さない安倍晋三政権に、沖縄県民の怒りは臨界点に達しつつある。かつて「最低でも県外」と主張し、断念した鳩山由紀夫元首相と新右翼「一水会」の木村三浩代表、元外交官の孫崎享氏の異色のトリオが、“対米追従”の安倍政権をぶった斬った。
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木村:4月5日に菅義偉官房長官が翁長雄志沖縄県知事と会談しましたが、もの別れに終わりました。辺野古移設反対を掲げた知事が誕生してから会談実現まで4カ月もかかってしまった。
孫崎:住民の意思を踏まえた知事と会わずに、安倍首相は3月25日に米国のデンプシー統合参謀本部議長と会い、辺野古移転は予定どおり作業を進めると言った。“植民地総督”にでもなったつもりなんでしょうか。
鳩山:私も安倍首相や菅官房長官の態度はとても許されるものではないと思います。ただ、私は首相のときに一度は「最低でも県外」を掲げながらも移設先を辺野古に戻してしまった責任者であり、沖縄の方には申し訳ないと思っています。せめて何かの役に立ちたいと、今も2カ月に1回ほど現地に伺っています。
木村:現地の方々と対話をされるんですか。
鳩山:そうです。世間は私が今でも現地ですごいバッシングを浴びていると思うかもしれませんが、実は全国でいちばん沖縄の人々が温かい。皆さん複雑な気持ちをお持ちでしょうが、総理として県外移設を俎上にのせたことは今も評価していただいている。それが、私には救いになっています。
木村:県外移設を本気で主張した首相は鳩山さんだけですからね。基地問題の着地点をどう考えていますか。
孫崎:私は辺野古移設は中止せざるを得なくなると思う。あれだけの大工事を地元の人々の反対の中でできるとは思えない。沖縄の人たちは体を張りますよ。流血の事態が起きてしまう。
鳩山:心配ですね。辺野古のゲートの前で反対運動をしている人たちは、80代のおばあちゃん、島袋さんを筆頭にみんな覚悟を決めています。だからこそ、毅然としている。木村さんと同じくらい、腹が決まっていますよ。
(構成 本誌・小泉耕平)
※週刊朝日 2015年4月24日号より抜粋