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 日本の国富(資産から負債を引いた国全体の正味資産)は13年末で3048.7兆円。これを1ドル=80円で換算すると約38兆ドル、1ドル=120円で換算すると25.4兆ドルになる。

「過度な円安で、約3分の1の国富が失われたことになる。日本の経済規模は金融政策によって3割以上小さくさせられたのです」

 円安戦略は間違いと指摘するのは、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の小幡績准教授だ。

「一部の輸出企業が潤う一方で、円安による原材料や外国製品の高騰で国民の生活コストは上昇している。さらには、割安になった日本の企業や不動産、水資源、優秀な人材といった貴重な資産も外国人によって買い漁られるかもしれない」

 小幡氏は、黒田バズーカ後の日本経済は、小泉政権時代の「実感なき景気回復」と同じ構造だという。当時も円安で輸出は伸び、景気は拡大したが、資源高も相まって食料品や必需品の価格が上がり、国民の多くは恩恵を享受できなかった。

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