味の素「COOK Do」のCMで山口智充さんと共演し、回鍋肉を食欲全開でほおばっていた姿を知っている人も多いのではないか。あれから3年。杉咲花(17)は着実にキャリアを積んで、日経トレンディ主催の「2015年の顔」に選ばれた。

 俳優としての可能性を強烈に印象づけたのは13年放送のドラマ「夜行観覧車」(TBS系)。鈴木京香さんと宮迫博之さんが演じる夫婦の娘役として登場し、家では母親に暴力をふるい、学校ではいじめられる中学生を熱演した。ヒステリックに泣き叫び、暴れる姿があまりにリアルで、「彼女、大丈夫? 怖い……」と本気で心配する声がネット上にあふれた。

 しかし、本人にとってはまだまだ成長過程の演技だったとか。

「自分のことでいっぱいいっぱい。せりふの言い方やその場面の表情など、すべてをがっちり固めておかないと不安で仕方がなかった」

 最近は少しずつ自分を客観視できるようになってきたという。中学のとき、俳優になりたくて現在の所属事務所のオーディションを受けて合格。以来いつも胸には「好きなことをできている環境が嬉しい」との思いがある。

 1月31日公開の映画「繕い裁つ人」は、中谷美紀さん、片桐はいりさんら演技派の先輩たちと共演。

「三島有紀子監督の、映画に対する愛を強く感じ、それに応えたかった。私自身、仕事ひとつひとつに愛情を持てるようになりました。その分、深く考え込むようにもなり、悩むことも増えました」

 神経を使う仕事だけに自宅でゆったりくつろぐ時間は至福だ。趣味の写真も息抜きのひとつで、時々ブログを飾っている。その日に食べたホットケーキに街角のハト、ブラインドからの木漏れ日など、独特の感性で撮られた作品であふれている。

「今年は趣味を膨らませて、ブログ以外の形で残してみたいなぁ、なんて」

週刊朝日  2015年1月16日号