安倍政権の継続か否か。総選挙は2日公示され、本格論戦がスタート。自民党は11月25日、政権公約を発表したが、東京商工リサーチ取締役情報本部長の友田信男氏は、中小企業の倒産はこれからが本番だと指摘する。
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公約には、具体的な円安対策はありませんでした。急速に進んだ円安のせいで、業績悪化にあえぐ中小企業は急増しています。
最近になって金融庁は、全国銀行協会などに対して、中小企業の資金繰りに重大な支障が生じないよう積極的な支援を求めています。すでに対応済みとして公約には入れなかったのかもしれませんが、円安による弊害を取り除く、より具体的で効果的な政策を大きく打ち出すべきだった。
円安に起因する倒産件数は、今年1~9月で214件。前年同期に比べて2・4倍に跳ね上がりました。このまま円安傾向が続けば、件数は今後も大幅に増えるでしょう。円安は企業の自助努力でどうにもなりません。経営困難に陥る企業がますます増えてしまいます。まずは、国が動いてほしい。
公約には、「地域が潤う好循環(ローカル・アベノミクス)を実現」「地域資源を活用した『ふるさと名物』の開発・販路開拓」など、地域という言葉が多く出てきます。
アベノミクスの恩恵を地方にまで行き渡らせたいのでしょう。確かに、「高付加価値のものづくりに力を入れる」政策はぜひとも実現してほしいもの。
ただ、流通網や販路拡大への施策が見受けられないのが気になります。作りっぱなしにならないように、「出口」まで道筋を示してほしかった。
地方の中小企業の経営を好転させて、地域経済を活性化させるために、「商店街の再生」「創業準備、創業、事業の継続・発展、事業承継の課題解決に向け支援」など、さまざまな政策を掲げていますが、誰がどのように実現するのでしょうか。こちらも具体的な政策はありません。
人材については、「地域と都市部の多様な人材の中から、地域の中小企業・小規模事業者が必要とする人材を発掘」とあります。しかし、都市部と地域では賃金の相場が違う。実現のための具体策を示すことは難しいでしょう。そんな声が中小企業の経営者からも聞こえてきています。
※ 週刊朝日 2014年12月12日号