「船清」では小グループ用の半個室テーブル席が好評だ
「船清」では小グループ用の半個室テーブル席が好評だ

 都内に4団体ある屋形船組合で最大規模の「屋形船東京都協同組合」の理事長で、浅草橋の船宿「小松屋」4代目・佐藤勉さんは指摘する。

「コロナ禍の前なら、11月下旬から年末にかけては忘年会、年が明けたら新年会の予約がたくさん入っていたものです。でも今シーズンも以前の2、3割。船のメンテナンス、保険料、係留代、人件費など、売り上げがなくても出費せざるを得ない固定費の負担が大きいです」

 円安や原油高も経営を圧迫する。石油情報センターの調査では、燃料である軽油の平均小売価格(東京)は、19年12月23日が129.8円だったのに対し、22年12月19日は151.1円だ。

「新型コロナが原因で廃業したのは、当組合ではまだ1社ですが、年明け後もこんな状態が続くなら、この先どうなることやら」(佐藤さん)

“船離れ”を実感させるような出来事もあった。

「22年4月の知床遊覧船沈没事故の影響も見逃せないのではないでしょうか。『船遊び=危険』とのイメージを持つ人が増え、客足回復がさらに遅れたと思います」(同)

 コロナ禍の前までは、春になると屋形船から隅田川沿いの桜を見るのが人気だった。あのにぎわいが戻る日は、来るのだろうか?

週刊朝日  2023年1月6-13日合併号