国内でも多くの場所で無料Wi−Fiが整備され、電子書籍を読む端末も増えてきた。電子書籍には、紙の書籍には利便性がある。今後、そうした前提をもとにしたコンテンツ作りが必要だと堀江貴文氏は警告する。
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長期の旅行、特に海外旅行に行った際に圧倒的に役に立つのがアマゾンのキンドルだ。
キンドルの本質はクラウドサービスであり、一度購入した書籍やコミックなどはずっとアマゾンのクラウドサービス上にあり、いろいろな端末にダウンロードして読むことができる。
キンドル製品はもちろん、他社端末のアイフォーンやアイパッドでも読むことが可能だ。それぞれにメールアドレスが設定されているので、PDFファイルなども送ることができる。
迷惑メール対策として、ホワイトリスト(メールを受信しても良いリスト)を設定することができて、例えば献本などにも使うことが可能だ。私はこの機能を使って献本を受け取ることも多い。いろいろな端末で読めるため、読むシーンを選ばないのである。ちょっとした細切れ時間を使って読書をすることができるようになったわけだ。
書籍データをダウンロードするにはWi−Fi接続が望ましい。今や世界中の空港では無料のWi−Fiネットワークが用意されており、そこでダウンロードしておけば良い。以前はトランクの中身のそれなりの体積を本が占めることもあったが、今はキンドルあるいはアイパッドなどを入れておけば良くなった。
私が漫画サイトを運営しているのは、こういった電子書籍時代を見越しているのも理由の一つだ。書店にフラリと立ち寄って漫画を選んだり、毎週購入している漫画雑誌から面白そうな漫画を選んだりというライフスタイルが大きく変わりつつあるのである。
しかし、出版社や作家の抵抗などもあり、配本日に電子版が提供されているケースはそんなに多くない。また、いつまでたっても電子版が提供されない作品も多い。長期の旅行に紙の本を大量に持ち込むというのは、はっきりいって時代遅れだろう。
また飛行機の機内でも新聞とか雑誌を読まなくなってきた。それもキンドルの影響である。読みたい書籍・コミックは、あらかじめキンドルの中に入れてあるからだ。そして電子機器の使用も離着陸時すら認められる流れが世界的に出始めている。
機内のインターネットサービスも国際線はかなりの路線で、国内線でも少しずつ導入が進んできている。日本国内でも、つい最近スカイマークが無料のWi−Fiサービスを導入することを発表したが、そうなってくればニュースアプリなどを使ってダイレクトにネット上の情報を得ることになるだろう。
今後は、それを前提にコンテンツ作りを手がけていかなければならないと思う。それができない出版社、作家は淘汰されていくことになるのではないだろうか。
※週刊朝日 2014年8月15日号