まさかの大逆転勝利に笑みを浮かべる嘉田由紀子前知事と三日月大造新知事(右) (c)朝日新聞社 @@写禁
まさかの大逆転勝利に笑みを浮かべる嘉田由紀子前知事と三日月大造新知事(右) (c)朝日新聞社 @@写禁
この記事の写真をすべて見る

 滋賀県知事選でのまさかの敗北に、激震が走る安倍自民党。さらに10月26日の福島県知事選、11月16日の沖縄県知事選は国政に影響を与えかねない重要な首長選だが、安倍自民党の情勢は厳しいという。

 福島県知事選は、いまだ正式に出馬表明をした人がいない。現職で2期務める佐藤雄平知事(66)は昨年1月に体調を崩して入院したこともあり、「3選出馬しない」との情報が駆け巡った。このため自民党福島県連は今年3月、佐藤氏の不出馬を念頭に、独自に候補者を擁立すると発表した。

 安倍政権の福島復興に対する通信簿ともいえる知事選だけに、慎重に候補者選びが進む。だが、実際は「軒並み断られ、県連幹部はみな頭を抱えている状況」(自民党関係者)だという。

 その混乱を見透かしたかのように佐藤氏は3選出馬に向けて意欲を見せ始めた。9月の県議会で、出馬表明すると見られる。

 東京電力福島第一原発事故後の住民避難や知事のリーダーシップをめぐって、一部の県民から批判を受けた佐藤氏だが、「大きな失点のない現職が『復興のためにもう4年間、汗をかかせてください』と訴えたら、誰も勝てませんよ。党本部はすでに諦めムードです」(同党関係者)。

 沖縄県知事選は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設が大きな焦点。昨年、安倍政権と歩調を合わせるべく、辺野古埋め立てを承認した現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事(74)に、那覇市長の翁長雄志(おながたけし)氏(63)が挑む構図だ。翁長氏は、辺野古移設に反対の立場。

 自民党沖縄県連は仲井真氏を擁立する方針だが、かねて体調が不安視されてきた。同党県連の那覇市議12人は翁長氏側に流れ、公明党沖縄県本部も辺野古移設に反対のスタンスから翁長氏を支援するとも言われている。

 翁長氏は那覇市議2期、県議2期、市長は4期目で知名度は抜群。石破茂幹事長は党の情勢調査で仲井真氏が劣勢だったことから、「別の候補者を探せ」と県連会長の西銘恒三郎衆院議員(59)に指示。ところが、「今さらムリだ」と猛反発し、内紛状態となっている。

週刊朝日  2014年8月1日号より抜粋