もはやWi‐Fiでの通信サービスは当たり前になりつつある(日本の航空会社は遅れている)。そこで一歩進んで離着陸時の使用も認めることになったのだろう。
航空機の操縦を学んだものならみんな知っている話だが、空港での航空機の誘導には電波が使われている。ローカライザーという航空機の水平位置を把握するためのシステムにはVHF帯の電波が使われていて、グライドスロープという垂直位置を知るためのシステムにはUHF帯の電波がそれぞれ使われている。
電波を発する電子機器からこの誘導に使われている周波数帯に間違って妨害電波が発せられたら、航空機の位置が把握できなくなり、ヘタすると墜落したりする可能性があるわけだ。
特に古い機材を使っている場合には、実際に妨害電波となるケースもあったのだろう。しかし最近の電子機器は、空港の誘導電波に影響を及ぼさないということを当局が認めて利用者の利便性を向上する方向に舵を切ったわけだ。
日本の航空当局も離着陸時のスマホ使用を認める方針らしく、これで紙媒体の最後の牙城がなくなってしまうわけだ。私は全日空の機内誌「翼の王国」が好きだが、これもスマートフォンアプリのみの提供になってしまうかもしれない。機内販売用の雑誌もなくなって、映画もWi‐Fiで各自の端末にオンデマンド配信になるかも。
※週刊朝日 2014年6月13日号