会見が話題となった理化学研究所の小保方晴子氏。文筆家で、女性のセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表である北原みのり氏の周囲でも、話題にのぼることが多いという。
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最近は、女友だちに会えば小保方晴子さんの話題で盛り上がる。
ある女友だちは言う。「割烹着を着てる時点で怪しいと思ってたけどね!」。別の友達も苦々しい口調で言う。「『眠れない夜や泣きたい夜もありました』とか言ってたけど、いかにも男が喜びそうな台詞で嫌い!」
そんなアンチ小保方女は、少なくない。「オジサンが喜ぶことを進んでやり、愛される女」 への嫌悪を、まるで同僚の悪口を言うように語りたがるのだ。
一方、小保方さんを応援している女だって餞舌だ。「理研がおかしい! なぜ誰も『小保方だけが悪いんじゃない!』と助けないの!」「日本にケヴィン・コスナーはいないのかっ!」(←いないです)「日本の男は弱い!」「うちの会社の男は、弱い上にずるい!」……小保方さんの話から、いつのまにか男や会社の悪口になったりする。
小保方さんが好きな女も。
「釈明記者会見の小保方さんキレイだった! 宮沢りえの婚約解消記者会見レベルよ! 化粧も髪形も服装も完璧! まつげエクステも外してたし。理性も客観性もある人よね~! STAP細胞は、あると思う!」
何故なんだろう。私たちは、小保方さんを語りたくてたまらない。小保方さんを語りながら、女としての自分と社会の関係を探ろうとしているのだろうか。
それにしても、「男に媚びる」ことに怒る女が多いことに私は驚いた。まるで「ずる」をしているかのように、小保方さんを批判するのだ。
私は自分はフェミニストだと思ってるけど、男に媚びる女は嫌いじゃない、と彼女たちと話しながら気づいた。だって、男が女に何を求めているかを敏感に察知し、うまく立ち回らなくちゃ、多かれ少なかれやっていけない社会でしょ? それも一つの女の生き延びる道じゃない?
でもじゃあ、そんな風に働いて男に褒められたところで、いったい何が手に入るの? 割烹着への賞賛? そんなもの、欲しい?
そしてまた女友だちと、小保方さん語りが始まる。小保方さん語りを通し、私たちは、生き延び方を模索したいのかもしれない。
※週刊朝日 2014年4月25日号