「今後も○○さんと生活していくつもりなんですね」

 検察官の確認に頷く妻を見て、裁判長が質問を引き継いだ。

「あなたとしては、夫と子どもとどちらと訊かれたら、夫が大切なんですか」

「はい」

 また子どもができたらどうするつもりなのか。

「そこまで考えていませんが、もし妊娠したら産んで育てたいです。子育てする自信はあります」

 世の中には人の数だけ愛の形がある。夫を嫌いにならなくても、結婚後も恋人同士のように暮らしたいと思うことも自由。でも、反省の気持ちが本物なら、ひとつだけ約束してほしかった。何があっても、もう子どもは作らない。万一できたら中絶すると。でも、そんなことは考えないんだなあ。償いについてどう考えているかと尋ねられると前言を覆し、生活が安定したら子どもを引き取りたいなんて言うのだ。頼むからそれだけはやめてくれ。

 判決は両者とも懲役3年。実刑になって安心したが、刑期が同じなのはどうかと思う。夫のほうが罪が重いと考えるからじゃない。出所したらすぐ子どもができそうだからだ。

※ 週刊朝日 2014年3月7日号

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